
28才のOLです。
顎関節症でプレートの治療を
1年ほどしているのですが、良くなるどころか
ますます顎の位置がおかしくなり、
プレートをしている時は良いのですが、
プレートを外すと、なぜか、
オープンバイトになり、
奥歯も噛み合わなくなってきたのです。
ネットで検索していたら、
オープンバイトが親知らずを抜くとで改善した!
という体験談があったのですが、
親知らずを抜くだけで、
そんなに簡単に治るのでしょうか?
ちなみに、私も親知らずは生えています。

症例によっては治ります。
理由は以下の通りです↓。
最近のオープンバイトの症例は、
質問者の方のような、
顎関節症の治療のために
プレート療法を受けた人が多くを占めています。
顎関節症治療用の硬いプレートを
1年以上の長期間使用した場合、
プレートは第二大臼歯までしか、
カバーしていないため、
上顎に生えている親知らずが下がってきて、
プレートを取ると、頬の肉に直撃し、
奥歯がキッチリ噛み合わなくなり、
オープンバイトになることがあるのです。
そうなると、こんどは第二大臼歯も動き始め、
噛み合わせはどんどん狂い始めます。
28才OLのTabasaの症例で説明します。
主訴は顎関節症とオープンバイトでした。
初診で来た時の様子です↓。

12/01/99 初診時の様子↑
約1年間、第一大臼歯までをカバーするプレートを
週刊誌に登場する名医で製作し、付けていました。
治療前はそうでなかったのに、
現在は、明らかにオープンバイトです↑。
パノラマレントゲンを観察します↓。

白い矢印で示した親知らずの2本は、
どう見ても頬の肉を直撃しています。
咬合の改善うんぬんという以前に、
この親知らずは、対合歯もなく、
残しておく理由がないので抜歯します。
親知らずを抜いただけで、1.5mmあった
上下の前歯の隙間が1mm程度までになりました↓。

12/18/99 #1,16 抜歯から1週間後の様子↑
噛み合わせの高さが、0.5mm変わったというのは、
歯科医療の世界では大幅改善ということになります。
現に、Tabasaは、
奥歯でしっかり噛み合うようになったと
大喜びでした。
駅前のコンビニ歯医者の治療ならば、
ここまでやればOKなのかもしれません。
しかし、まだオープンバイトです。
第二大臼歯に問題があるのです。
顎関節症が治ったという保証もありません。
では、もう2度と歯で悩まない人生を約束する
アメリカ歯科標準治療では、
次に何をするのでしょうか?
この先1ヶ月間に行う治療は以下の2つです。
・今まで変な位置関係にあった筋肉のバランスを治す
・その後、咬合調整をする
ということを行います。
筋肉のバランスを治すためにはNGを使用し、
筋肉のバランスが良くなったと判定できた
段階で咬合調整(OA)を行います。
咬合調整は、
Evidence Based Medicine (EBM)に基づいた
スタンダードな方法で行います。
今回のTabasaのケースは、1ヶ月のNG装着で、
筋肉のバランスが改善したので、
咬合調整は、奥歯の3本の歯を、少しだけ
削るということで完了しました。
すると、オープンバイトは完治しました↓。

01/08/2000 OA直後の様子↑
この段階でのTabasaは、
顎が中心位で閉じたとき、全てが当たるようになり、
小臼歯も前医の不適切な硬いスプリントで
摩耗してしまった歯以外は当たるようになりました。
顎を開閉すると、カチカチと
奥歯の当たる澄んだ良い音のするようになり、
咬合調整が完璧に行われた
と言うことを表しています。
ただし、これでも将来において、
顎関節症が再発する可能性はあるので、
アメリカ歯科標準治療では、
この後に歯列矯正を行い、
2度と顎関節症にならない噛み合わせを、
完成させる治療を行います。
従って、今日の質問への回答は、
親知らずを抜くことで、
オープンバイトを
ある程度までなら
改善できる可能性はある
が、顎関節症が再発する恐れがあるので、
再発を防ぎたい人は、
Evidence Based Medicine (EBM)に基づいた
予防的な治療を、さらにしなければならない!
ということになります。
参考1:顎関節症は治る!
参考2:米国と日本の顎関節症の違い
参考3:アメリカ歯科標準治療とは?
参考4:アメリカ歯科標準治療の実際
参考5:最新のアメリカ歯科標準治療
参考6:顎関節症を治す咬合調整
参考7:魔法のナイトガード
参考8:咬合挙上では治らない!
参考10:顎関節症と開口障害は別のもの
09/30/00
10/25/10 updated
Norman Yamazaki, DDS.