7年ほどが過ぎ、帰国してしばらくして御茶ノ水駅前のCD ショップの前を通ると、大きなポスターが貼ってあった。
どこかで見覚えのある顔であった。近寄って見ると、PTに似ていた。
名前も同じである。

その頃おれが従えていた子分の吉田に
「この人は有名なのか。」
と聴くと、
「超有名ですけど、もう死んで随分になります。ジャンキーですよ。変なやつですよ。ファンはヤンキーだけですよ。」
と言った。
その足で丸善に行き、TP関係の本を探すと二冊あった。
買うと、滝沢に行ってさっそく読んだ。
生まれてはじめて喫茶店が看板になるまでいた。
おれの知っているTPと世間のTPの評判は一致しない。
おれはTPを良い人であると思っている。
世間の多くは思っていない。
おれはTPは日本を良い方向に導く才能を持っていると思っている。
しかし世間の多くは思っていない。
もしかすると、このポスターの人はTPに良く似ているだけなのかもしれない。
もしくはTPはおれをかつぐために普段から似ていると言われていた、人気のあった人物をかたったのかもしれない。
そして今はCITY BANKか国連本部の課長くらいにはなっていて、LEXUSを運転しているのかもしれない。
しかし、TPがおれに話した葛藤と伝記の中にある葛藤は似ている。
「難破船の少年」の本の話も同じである。
おかあさんの餃子のことも同じである。
おれがこのTPの話をすると、TPの評判を知っている大学教授、教官クラスの医療人は、
「その話はあまりしない方が、君のためになるでしょう。」
と口を揃えて言った。
あからさまに厭な顔をする者もいた。
それは、
おれが行う治療行為は高度なもので、アメリカ本土でも人口の経済的に優位なトップ1パーセントを対象としており、日本で同等な位置に属する人は、TPに対しては、嫌悪感を持つことはあっても、好感は持たないであろう
というのが、理由であった。
つまり、自分の患者を減らさないようにするために黙っていろというのである。
この人たちは、おれのことを心配して言ってくれているのかもしれないが、この内容の話を聞く度に、おれは、こんな考えをするような人間だけには絶対ならないようにしようと思った。
ただ、一人だけ東京にある国立大学歯学部の教授で、
「その話はいいんでないの。どっかに載せれば患者がいっぱいくるんでないの。」
と言ったものがいる。
教授のKである。
大学でも保険の権化とか超破壊者とかバカとか呼ばれており、今だに研修医に向かって
開業は技術うんぬんではなく、同業者の少ない土地で、何処からでも見える大きな看板を出せば儲かる!
というのを口癖にして説教している。
治療の技術とか内容には全く興味はない。
従って、国立大学付属病院内で行われている診療なのに、Kのやっていることは目をそむけたくなるようなことばかりである。
患者は単に保険の点数であり、ジャンキーだろうとヤンキーだろうと、保険証を持っていれば、お客さんだと考えている。
従って、何故おれの行う治療は1日3人が限界で、Kの治療は50人でも100人でも平気なのかの理由がわからない恐い教授なのであった。
こんなものが何故教授になれたのか全く不思議な大学であり国である。
しかも1千万以上の年収はおれたちの税金から払われている。
日本の税金は何故高いのか教授のKを見てわかった。
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