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TPはおれが一番人生で悩んでいた時、メッセージを持って現れた。
それは神の使いとしてだというと、多くの無宗教の人は嗤うだろうが、
宗教的な人たち、特に古くから続くキリスト教がDNAの螺旋の中に少しでも組み込まれている人たちや、「聖なる予言」と「第十の予言」を読んで理解できた人たちにならわかってもらえると思う。

当時おれは自分の進む道を迷っていた。
「このままコロンビアを出て開業すれば儲かるのは確かだろうが、一流にはなれない気がする。
特に日本に帰ったりしたら絶対になれない。」
とおれが言うと、
「じゃ辞めて、好きなとこに行けばいいじゃん。」
とTPは言った。
「インディアナにはMelvin Lundという教授がいて、この人に習ったら、たぶん超一流になれると思う。」
と言うと、
「じゃ、それしかないじゃん。」
とマンハッタンを飲みながらTPは言った。
「簡単に言ってくれますねぇ。」
とおれが困っていると、
「だって先生、あんたなら絶対なれるよ。」
と励まし始めた。
「でも、そうなったら日本には帰らないと思うよ。」
と、またおれが悲観的なことを言うと、
「今はそんなことはどうでもいいよ。
その大先生のところで超一流になることが先でしょ。
でも、まあ、そんな心配しなくても、先生は日本に必ず帰るから。
そういう運命に生まれている人だよ。
あんたは。」
と、TPはおれの人生が見えているかのように言った。
そして俺の目を見つめるTPの瞳にはキラキラ輝く光があって、その言葉をより説得力のあるものにした。
*****
この時の会話でおれは転校を決めた。
親戚、家族、クラスメイト、友達等全ての者は反対した。
おやじは勘当すると言ったし、おふくろはコロンビアにいてくれと泣いて頼んだ。
しかし、おれの心は決まっていた。
TPの言葉の中に導きを見たからである。
TPはいつもUP BEATで話していると元気づけられることが多かった。
おれを良い方へ良い方へと方向付けてくれた。
目標が決まり、舗装した一本の道をそこまで開通させたとしたら、アクセル全開で走りきることは容易なことだ。
キリスト教では道を示してくれる人をNAVIGATORと呼び、最も尊い者とする。
それ以降のおれの歴史はTPの言った通りになっている。
今、インディアナへ転校した話になると、一番反対したはずのおやじもおふくろも、本当に思い切った良い決断だった、と誉める。
だからTPはおれにとっては尊く、かけがえのない恩人である、それは息子を日本に呼び返すことのできたおれの両親にとっても同じである。
おれがもらったカセットテープには
と細い油性のサインペンで殴りつけるように筆記体で書いてあった。
*****
おれが帰国した年、日本に帰ってこれたのは尾崎のおかげだと、おふくろに言った。
しばらくして、木曽からたくさんの松茸を送ってきたとき、そのなかの一番大きい包みに
「尾崎さんにあげてね」
と書いてあったのには困った。
おふくろはまだ尾崎が死んだのは知らない。
そして、たぶん、おれも知ることはないと思う。
今日、湯島聖堂にお参りしたら尾崎は神様になったという声がした。
鬱蒼とした木々が何十年ぶりかに打ち払われて、正殿が神田明神に繋がった湯島聖堂を歩いていると色々な声が聞こえる。
to be continued...
November 25, 2008 updated
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